お互いを見極めるためのもの

面接試験とは、学生にとっては「自分が満足して働ける企業か」、企業にとっては「自社に合う人材か」を、それぞれ見極めるための対話の場です。通常、内定が出るまでに数回の面接試験が行われ、コミュニケーション能力、志望度の高さ、論理的思考ができるかなどを評価します。選考を通じて、最も大きなウエイトを占める試験と言って良いでしょう。

また、面接試験は学生が企業を見極める場でもあります。面接官に質問をする以外にも、受付の対応や社員の服装・身だしなみ、社内の雰囲気などもチェックしてみましょう。実際に感じ取り、自分なりの基準を持って、自分に最も合う企業を見つけましょう。

面接官が重視する3つのポイント

1.コミュニケーション能力

コミュニケーション能力とは、ただ単に「誰とでも気軽に話せる」という能力ではなく、相手の意図を理解し、自分の意図をきちんと伝えられる能力のことです。相手の状況・理解度合いに注意し、「本当に伝わっているか?」を確かめながら話しましょう。

2.志望動機・自己PR

面接官は一緒に仕事をする仲間にふさわしいかをチェックしています。「この企業で働きたい」という熱意だけでなく、「なぜこの企業で働きたいのか」という志望動機や、「どんな強みを持っているのか」という自己PRも伝える必要があります。

3.論理的思考

面接試験では、面接官の質問に対し、短い時間で自分の考えをまとめる論理的思考が必要です。また、質問に対し端的に自分の考えを伝えるために「分かりやすい言葉で話す」「結論から話す」「論点を明確にして話す」など、話し方も工夫しましょう。

日本語の能力について

日本語能力は、面接試験でチェックされる重要なポイントではありますが、「日本語や敬語の話し方に気を遣いすぎて、考えていたことを十分に話せなかった」というのでは逆効果です。細かい言葉遣いは多少間違えても問題ないくらいの気持ちで臨み、話すべきことについてきちんと面接官に伝えることができるようにしておきましょう。

面接試験の形式と評価のポイント

面接試験にはさまざまな形式があり、代表的なものとして「集団面接」、「個人面接」、「グループディスカッション(グループワーク)」、「プレゼンテーション面接」などが挙げられます。それぞれの形式により評価のポイントが異なりますので、面接試験に進むことができた企業については、どのような形式の面接試験が行われるかを事前に確認し、その形式に応じた対応策を立てておきましょう。

1.オンライン面接

オンラインで面接を実施する形式です。近年、採用選考においてWeb面接を導入する企業が増加しています。

【ポイント】

複対面・オンラインの違いはあっても企業が面接を通して問う内容や評価基準に変わりはありません。事前に企業が指定するアプリなどのダウンロードや登録をして使い方を確認するようにしましょう。初めての人は、家族や友人にお願いして、あらかじめ練習を重ねておくと安心です。

2.集団面接

複数の学生が、1人あるいは複数の面接官と面接を行う面接形式。1次面接など選考の序盤に行われることが多くあります。

【ポイント】

複数の学生の中、自分自身の言葉やエピソードで自分らしさをアピールできるかといった自主性や表現力、コミュニケーション能力などがチェックされます。一人ひとりに与えられる時間が短いので、質問の意図をつかみ、的確かつ簡潔に話すよう心掛けましょう。

また他の学生が答えている間の態度もチェックされるので、自分の順番が終わった後も気を抜かないように注意しましょう。

集団面接

3.個人面接

学生と面接官が1対1、あるいは学生1人と面接官複数で行う面接形式です。主に2次や3次面接など選考の中盤以降で行われます。

【ポイント】

面接官は質問の受け答えを通して、人柄や志望度、能力や適性などを判断しています。集団面接よりも掘り下げた質問内容が多く、さまざまな角度から質問をされるので、具体的な内容で回答するよう心掛けましょう。個人面接は学生にとって熱意をアピールする絶好のチャンス!質問者の目を見て、一つひとつの質問に落ち着いて答えましょう。退室後も気を抜かないように注意しましょう。

個人面接

4.グループディスカッション(グループワーク)

学生数人で、決められたテーマに関する議論や作業を行い、面接官がその様子をチェックする面接形式です。

【ポイント】

協調性、性格、知識や考え方などがチェックされます。話を進めるリーダー役や話を整理する書記役など、話し合いを進めるために自分が何をしなければならないかを意識し、行動することが大切。チームワークを重視し、議論を展開させることがポイントです。

グループディスカッション

5.プレゼンテーション面接

あらかじめ用意されたテーマに沿って、決められた時間内で自分の意見や企画を面接官の前で発表する面接形式です。

【ポイント】

相手を納得させるために、自分の意見や企画について筋道を立てて説明することが求められます。論理的な思考能力や幅広い見識が評価のポイントです。発表後には面接官からプレゼンテーションの内容について質問されることもあるので、準備は入念に行いましょう。

プレゼンテーション面接

面接試験当日の流れ

1.面接前

当日までに面接場所や開始時間、持ち物をチェックし、提出資料があればもう一度読み返しておきましょう。当日は遅刻をしないよう、面接開始の10分前を目処に到着できるよう余裕を持って行動すること。万一遅れそうな場合には、すぐに採用担当者にその旨を連絡して謝りましょう。また、会社に入る前に携帯電話の電源は切っておきましょう。

2.受付

受付で挨拶をした後、学校名と名前を告げ、面接のために訪問した旨を簡潔に伝えましょう。会社に足を踏み入れた瞬間から、すでに選考はスタートしています。案内していただいたらお礼を言い、途中で社員の方と会った際には、会釈をしましょう。

3.控え室

名前が呼ばれるまで、順番を待ちます。応募者同士の大きな声でのおしゃべりや、携帯電話を見ることがないよう注意。タバコを吸ったり化粧直しをするのは厳禁です。姿勢を正して静かに自分の順番を待ちましょう。名前を呼ばれたら、必ず「はい」と声に出して返答しましょう。

4.入室

ドアをノックし、入室を促されてから「失礼いたします」と言って入室します。椅子の横に立ち、大学名・学部学科名・氏名を名乗り「よろしくお願いします」と元気良く挨拶。面接官に勧められてから「失礼いたします」と言って着席しましょう。その際、カバンは足元に置き、背筋を伸ばして座りましょう。

5.面接

面接官が話している時はあいづちを打つなどして、面接官の言葉をしっかり聞きましょう。質問に答える時は、目を見てハキハキとした口調で答えることが大事です。集団面接の場合には、他の人の話もしっかり聞くようにしましょう。表情は、口角を上げ明るい表情を保つように。また、自分の話が終わったからといって気が抜けた表情をしてしまうと印象は良くありません。髪をかきあげたり、指先をいじるなどの癖がある人は控えるように注意しましょう。

6.退室

面接が終了したら、その場で元気よく感謝の気持ちを込めて「ありがとうございました」と挨拶をします。ドアの前で再度挨拶をし、静かにドアを閉めて退室。退室しても、建物を出るまでは選考が続いているつもりで、気を抜かないようにしましょう。

面接試験でよく聞かれる質問例

「日本の企業に就職を希望する理由を教えてください」

外国人留学生の採用について採用担当者は少なからず「組織へ定着してくれるか?」「順応できるか?」などの不安を抱いています。なぜ他国ではなく日本の企業なのか、将来についてはどのように考えているのかを伝えましょう。

「あなたの強みを教えてください」

この質問に対する回答として重要なのは、最初に自分の強みをできるだけ具体的に伝えること。その際に根拠となるエピソードや実例を交えて話すことで説得力が増します。また、「その強みを仕事にどう活かすか」を伝えると、入社してどんな活躍が期待できるかも面接官にイメージしてもらえます。

「志望動機を教えてください」

企業研究をしっかり行っているかが問われる質問です。この質問で重要なのは、「なぜこの企業で働きたいのか?」をしっかりと説明すること。業界に対する志望動機だけになってしまうと、「同じ業界なら他社でも良いのでは?」と思われてしまいます。また、入社後にどんな仕事がしたいのかを伝えることで、面接官に具体的な入社後のイメージを持ってもらえます。

その他の質問例

面接試験では事前にどのような質問をされるかは分かりません。実際の面接試験では、さまざまな質問が投げかけられ、予想もしなかった質問をされることもあるでしょう。どのような質問にも、焦らず落ち着いて対応することが重要なのですが、事前に数多く質問を想定し、それぞれに回答を準備しておくと、慌てることも少なくなります。また、実際に困った質問がきて答えられなかった場合は、次回以降に備え、同じ質問にしっかりと答えられるよう準備しておきましょう。

<外国人留学生ならではの質問例>
<自己PRに関する質問例>
<志望動機に関する質問例>
<その他の質問例>

面接試験のテクニック

困った質問の切り抜け方

面接の質問の中にはどのように答えれば良いのか悩むような質問もあります。そのような質問をされた場合、「この質問から企業は何を知りたいのか」と、面接官の立場になって考えてみましょう。重要なのは質問の意図を読み取ること。見当違いの回答をしてしまわないよう気をつけましょう。

エントリーシート・履歴書を有効活用

エントリーシートや履歴書は、書類選考だけでなく面接の資料としても使われます。面接時、その内容について掘り下げて質問されることも多いので、エントリーシートや履歴書を書く際に、面接で注目してほしい内容を中心に書いておくのも良いでしょう。

視線は「アイゾーン」へ

面接では、できるだけ面接官の目を見て話すのが基本です。相手の目を見て話すのが苦手な人は、「アイゾーン」と呼ばれる、相手の額からネクタイの結び目までの間に視線を向けておきましょう。相手には「きちんとこちらを見ている」ように映ります。オンライン面接の場合は、画面ではなくカメラのレンズを見て話すようにしましょう。

面接に失敗した時の心構え

面接では慣れないうちは誰でも緊張してしまうものです。たとえ失敗しても落ち込まず、次の面接へのステップにすると良いでしょう。上手く答えることができなかった質問は、忘れないうちにノートにまとめ、対策を練りましょう。また、他の学生の話し方や立ち居振る舞いで「良いなぁ」と思ったものがあれば、それもメモしておき、次回以降の面接に活かすように心掛けましょう。