公務員の仕事は「全ての人のための」サービス

私たちが安心して暮らせるように、そして暮らしの安全が保たれるように社会の基盤を整備し支えること、それが公務員の仕事です。国あるいは自治体ごとの全ての人たちのために働くということは、企業に勤めていてできることではありません。大きな責任のある仕事ですが、やりがいも大きな仕事です。

約335万人が働く

公務員は、大きく分けて「国家公務員」と「地方公務員」の2つがあります。国の機関に採用され、国全体に関わる仕事をするのが国家公務員、また地方自治体(都道府県や市区町村)の仕事をするのが地方公務員です。 現在、国家公務員が約58.6万人、地方公務員が約276万人、あわせて約335万人もの方が全国各地で働いています。

幅広い活躍の場がある

役所の窓口でさまざまな申請や相談に対応することだけが、公務員の仕事ではありません。国や地方自治体を支える仕事はとても幅広く、さまざまな活躍の場所と職種があり、『職種の宝庫』とも言えるのが公務員の仕事です。

あなたのめざす仕事が、公務員の仕事の中にもあるかもしれません。企業での勤務を希望している人も、採用情報の中に興味ある仕事があれば、公務員として働くことも検討してみてください。

公務員のさまざまな職種

資格職系

●医師 ●保育士 ●獣医師 ●栄養士 ●看護師 ●学芸員 ●保健師 など

技術系

●土木 ●建築 ●電気 ●化学 ●機械 ●電子 ●環境 など

公安系

●警察官 ●消防官 ●入国警備官 ●皇宮護衛官 ●法務教官 ●刑務官 ●海上保安官 など

事務系

●行政事務職 ●衆議院事務局職員 ●参議院事務局職員 ●国税専門官 ●裁判所事務官 ●税務 ●学校事務 など

国家公務員・地方公務員それぞれの役割

「国家」と「地方」、同じ公務員でも活躍の場が異なれば、求められる役割にもそれぞれの特徴があります。それぞれの役割について、ここでは簡単に触れますが、省庁や自治体ごとにさまざまな仕事がありますので、詳しくはホームページなどを参考に、情報収集をしてください。

国家公務員の仕事

各省庁やその関連機関等において、国全体を支え、守る仕事に携わります。法務省や警察官の仕事のように、国の治安や秩序を守るための仕事、外務省での国家間の外交を専門に担当する仕事、国土交通省での道路や治水、港湾などの整備事業に関する仕事、厚生労働省での労働や福祉に関する仕事、文部科学省での教育や文化に携わる仕事など、いずれも国家レベルの施策に取り組みます。

国家公務員総合職・ 一般職・専門職

国家公務員試験において、最も受験者数が多い職種です。総合職は大学院及び大学卒業程度、一般職・専門職は大学及び高校卒業程度の試験レベル(難易度)とされています。総合職は政策の企画立案能力、一般職は的確な事務処理能力、専門職は専門的知識を有するかどうかが重視されています。

地方公務員の仕事

都道府県、市区町村それぞれの自治体で、その住民を支える仕事に携わるのが地方公務員です。

役所・役場での出生や婚姻、戸籍関連の窓口業務、水道、道路、ゴミの回収など生活維持のための事業、それらの施策を企画・運営していく部門、地域活性化のための産業育成やその宣伝活動、教育を支える学校事務など、地方公務員は、私たちの暮らしにより密接したかたちでサポートをする仕事です。

警察官・消防官

警察官や消防官も地方公務員にあたりますが、下のように、警察官と消防官は採用窓口が分かれています。

●警察官:都道府県採用  ●消防官:市区町村採用

警察官や消防官をめざす人は、どの自治体に採用があるか、またどのような時期に募集があるかをホームページなどでチェックしておいてください。

国家公務員の構成

国家公務員の約58.6万人は、国の機関である省庁で働く人の約27.8万人と、特別職と言われる自衛官を中心とした防衛省職員の約26万8000人で大半が構成されています。その他、大臣や大使、裁判官や検察官、そして国会議員や国会で働く職員も国家公務員にあたります。

国家公務員の構成

地方公務員の構成

地方公務員は「都道府県」と「市区町村」に大別され、合わせて約276万人が全国で働いています。それぞれ一般職と特別職に分かれ、一般職は都道府県庁や市区町村の役所・役場で働く人、学校や幼稚園・保育所で働く人、そして警察官・消防官などで構成されています。

特別職は、試験による採用ではなく、選挙で選ばれる自治体の首長や議会議員が中心です。

地方公務員の構成

公務員試験に向けたスケジュール

省庁や自治体ごとに試験スケジュールが定められていますので、受験申し込みの受付期間や試験日などの情報を収集し、受験機会を逃さないようにしましょう。

おおまかなスケジュール例

【3年生の春〜秋頃】
  ●試験勉強を開始
  ●採用されるまでのスケジュールを計画
  ●志望する職種や自治体の、今年度の採用状況を調査
【3年生の冬頃】
  ●国家公務員 試験日程公示
【4年生の4・5月】
  ●国家公務員(総合職) 申込受付/第1次試験/第2次試験(筆記)
  ●国家公務員(一般職・専門職) 申込受付
  ●地方公務員(上級/都道府県・市町村) 申込受付
【4年生の6・7月】
  ●国家公務員(総合職) 第2次試験(政策課題討議・人物)/最終合格発表/官庁訪問
  ●国家公務員(一般職・専門職) 第1次〜第2次試験
  ●国家公務員(一般職) 官庁訪問
  ●地方公務員(上級/都道府県・市町村) 第1次試験〜第2次試験 
【4年生の8・9月】
  ●国家公務員(一般職・専門職) 最終合格発表
  ●地方公務員(上級/都道府県・市町村) 最終合格発表
  ●地方公務員(中級・初級/都道府県・市町村) 申込受付〜第1次試験
【4年生の10・11月】
  ●地方公務員(中級・初級/都道府県・市町村) 第2次試験〜最終合格発表
【大学卒業後の4月】
  公務員としてスタート

<最近の試験傾向>
公務員試験でも人物重視の傾向が強くなり、面接に重点を置く自治体が年々増えています。筆記試験よりも面接試験の配点が高い自治体や適性検査と面接のみの自治体もあります。この人物重視の傾向を念頭に置いて、面接対策もしっかりしておきましょう。

公務員試験の出題内容

公務員試験には、一般的に1)教養試験(教養試験)、2)専門試験、3)論文・作文、4)面接・集団討論等があります。ただし、専門試験の出題範囲が自治体ごとに異なっていたり、あるいは専門試験や論文・作文が省かれる場合など、各省庁、自治体によって、また試験区分によってもさまざまです。

試験内容は事前に発表されるので、受験を希望する試験がどのような内容で実施されるかを把握しておきましょう。

基礎能力試験(教養試験)一般教養や常識を問われる択一式の試験、知能分野、知識分野の2つに分かれる。
専門試験それぞれの職種に応じた専門的な知識を試す試験。択一式や記述式で行われる。
論文試験課題に対して、文章で自分の意見を筋道を立てて述べることができるかを評価される。
面接・集団討論志望者の人柄などを評価。個別や集団での面接、課題に対して討論する集団討論などがある。

受験に際しての注意事項

年齢制限、学歴制限、日本国籍を問われる場合がある

地方公務員の場合、大学卒業者は「大卒程度」の試験は受験できますが、「高卒程度」の試験は受験できないことがあります。また、公務員を志望するには基本的に日本国籍を有する必要がありますが、試験区分によって不要な場合もあります。

異なる自治体で試験日が重なることが多い

近隣の自治体で同一の試験日を設定するケースが多くなっています。試験日が異なれば、複数の自治体を受験できますが、試験日が重なっていることも多いため、試験日程を把握した上で、どの自治体を受験するかを十分検討しておきましょう。

教養試験対策の勉強は必須!

いずれの省庁、自治体においても、大半の1次試験で教養試験が実施されます。公務員をめざす人であれば、必ず突破しなければならない第一関門とも言えますので、しっかりと勉強しておきましょう。