医薬研究所では創薬合成グループに所属しており、新しい薬物を創り上げるための化合物の設計(ドラッグデザイン)と、デザインした化合物の有機合成を行う創薬研究をしていました。当社のドラッグデザインは、立体構造データベースを元に構築して行うという独自性の高い方法で行っています。
入社2年目、なかなか望み通りの薬効を持つ化合物ができずに悩んでいた時、上司のアドバイスから、今まで合成した化合物の立体構造解析と、対照化合物の立体構造解析を行いました。数日分子模型をいじりながら悩んでいた時、新しいアイデアが“はっと”浮かび、そのアイデアを元に化合物を合成したところ、希望する薬効を有する化合物がデザインでき、大変嬉しかったことを今でも鮮明に記憶しています。
当社は、製薬の専業ではないため、仕事が分業化されていない部分が多くあります。そのため、幅広く一つのテーマにかかわりながら、新しい薬を作ることで、患者さんの命を救うことが自分にもできるという手応えを感じることができます。また、年齢や年次に関係なく、自由闊達に伸び伸びと意見を言い合い、それを実現する場を与えられる研究所の環境は、とてもやりがいを覚えます。
今後は、さらに多くの開発候補化合物を創生して、社会に貢献できる医薬品を創ることが目標です。また、個人としては現在留学しているハーバード大学とMITの共同研究機関「Broad Institute」でより高度な専門性と創薬力を身につけ、国際的に活躍する創薬科学者に成長したいと思っています。
大学では、学部4年時に研究室に所属することになってから、改めて基礎から勉強し直しました。専門分野の基礎を習得した研究室での研究生活は、今の仕事にとても役立っています。また、同期や先生、先輩後輩との充実した生活そのものも、かけがえのない思い出として大きな糧となっています。
私の時代の就職活動は、学校(教授)推薦が主流だったので、今の就活情勢とは異なります。自由に就活できる現在は、選択肢は広がったかもしれませんが、その分自身の能力が試されるようになったと感じています。日頃の研究も、マニュアルや他人の意見通りでは無く、自分の言葉で表現することを心がけてください。